もょもと交響楽団指揮者の田中でございます。
2012年1月22日に開催しました ”Premium Concert II - 音楽大活劇 - すぎやまこういち作曲 交響組曲「ドラゴンクエスト」より” にお越しくださいましたみなさま、本当にありがとうございました。
2009年に開催した前回のコンサートに比べ、2倍以上の数のお客様に来ていただいたことに、正直私たちも驚きました。
おかげさまで多摩市民館の大ホールがほぼ満席になり、たくさんのみなさまと共にドラゴンクエストの音楽の魅力を共有できたことは、演奏家の私たちとしても、大変大きな喜びになりました。
指揮者として、そしてこのコンサートの企画書を最初に提出した人間として、今回のコンサートへの取り組みを振り返るにあたり、当日の最後のアンコールでも演奏しました、「この道わが旅」という言葉に寄せた思いが相当強かったように思います。
他のところでも折に触れて話しているように思いますが、私自身、指揮・演奏活動をするにあたり、「良い音楽の創出」そのものをゴールには掲げていません。
「良い音楽の創出」を経て、自分が人間として何を達成したいのか、周囲の人たちとどのように関わっていくのか、その活動の先にどんな価値を見出していくのか、そういうことを考えて音楽に取り組んでいます。
もょもと交響楽団・すけさん吹奏楽団の演奏に関わってくださった参加者のみなさんが、今回の練習と公演を終え、またそれぞれの音楽活動や家庭生活や仕事などに戻っていくわけですが、「この道わが旅」の精神、つまり「それぞれが体験した作ってきた道が、それぞれの人生の旅につながりますように」と、今回の演奏の体験を明日からの生活に何か少しでもつなげていっていただけるとうれしく思っています。
さて、まじめな話はこのくらいにして、コンサート当日の状況を軽く振りかえってみることにしますよー!
(1) たくさんのお客様
多摩市民館の大ホールが満席ギリギリになるところまでお客様にお越しいただけました。
当日は天候不安があり、厳しい寒さもある中、たくさんのみなさまにご来場いただけたことに改めて深く感謝いたします。
なんというか、もう、
みんなドラクエ大好きだなー!!(共感)
今回は親子席もご用意しておりまして、小さなお子様連れの方にも安心して演奏をお楽しみいただけたのではないかと思います。
特にドラゴンクエスト初期のファンとなると、私と同世代の方々と思いますし、となると小さいお子様を抱えたパパやママが多いわけでして。
未来のドラゴンクエストファンを抱えたパパやママのみなさん、これからもしっかりその音楽の魅力をお子様に伝えていってあげてくださいね!
(2) すけさん吹奏楽団
当日の司会アナウンスでも触れましたが、前回のコンサート同様、今回の吹奏楽団も公演前日に集まったばかりの即席楽団での登場となりました。
しかし、即席とは思えない素晴らしい演奏であったように思います。
前日のリハーサルを少し見学しましたが、演奏家のみなさんの演奏技術と集中力、伊藤マエストロの的確な演奏さばき、とにかく見事でした。
限られた時間の中で最大限に成果を上げようとする、「オトナの力」がみなぎっていたように思います。
正直なところ、
「半年もかけて練習してきたもょ響やっべえ」とか思った瞬間もありました。
すけ吹に参加してくださったみなさん、ブラヴォーでした!
(3) もょもと交響楽団
約半年の練習をみっちりこなし、コンサート当日を迎えました。
もょ響は常設の楽団ではなく、その公演が実施されるごとに改めて結成し直される特殊な楽団です。
今回もドラゴンクエスト好きの素晴らしい演奏家のみなさまに集まっていただき、毎回切磋琢磨して楽しく厳しく練習を積み重ねてこれたと思います。
このブログでも主に取り扱った話題の楽団ですので多くは語りませんが、今回このメンバーで公演を乗り切れたことは、私としても本当に大きな喜びです。
余談ですが、第1期のもょ響でも思ったのですけど、このメンバーで一般のクラシック楽曲にも取り組んでみたく思うのです……!
(4) 司会の鬼才っぷり
コンサートの司会は、企画初期の頃から「第1回に引き続き金丸悠子さんで」と決まっていました。
第1回コンサートでは、ご自身もドラゴンクエストIII のファンだということで、特に物語に沿った空気作りが素晴らしく、ご来場くださったお客様のアンケートでも大変な好評が寄せられ、演奏家もステージで感動したものでした。
今回のコンサートでも、第1部・第2部ではドラゴンクエスト音楽の楽しいガイド役、そして第3部ではシリアスなストーリーテラーとして、お客様をその世界に引き込んでいたように思います。
状況に応じて、原稿にはないアドリブもいろいろと取り入れていらっしゃいました。
Twitter などでも話題になっていましたが、あの「ふっかつのじゅもん」のしっとりとした朗読は、おそらく世界初だったのではないでしょうか!
そんな司会の鬼才・金丸悠子さんの最大の持ち味といえば、「上品でクールな語り口」と「会場空気読み」。
これらを武器にして、もょ響・すけ吹の演奏・演出効果を最大限に高めるために何をどのように司会すべきか……そんなことを、コンサート直前のある日、金丸さんと私のマンツーマンで、川崎・溝の口にある玉子料理店で 2時間みっちり打ち合わせしていたのです。
司会原稿を元にして、それぞれのドラゴンクエスト作品の中身について相互理解を深めたり、当日の会場でも大反響だった「ぺぺぺ ぺぺぺぺ」の抑揚の調整をしたり……あの「ぺぺぺ」朗読を一番最初に単独で聴けた私は幸せものです!
そんな金丸悠子さん、このように各種MCも素敵にこなしますが、歌手としても活躍しています。
私も何回かライブにお邪魔していますが、長らく取り組んでいるジャズヴォーカル、そして最近リリースした大人のポップスアルバムもすごく楽しいので、「ぺぺぺ ぺぺぺぺ」「理不尽なベホマ」に感動した方は是非こちらもチェックを!YouTube の PV などもあります。
■金丸悠子 official web site
http://kanamaruyuko.com/(5) アンコール演奏曲
最後に、
自 分 の こ と で 恐 縮 で す が 、アンコール曲の話を。
この日演奏したアンコール曲はこちらです。
■第1部 吹奏楽ステージ
王宮のトランペット(V)
■第3部 管弦楽ステージ
空飛ぶベッド(VI)
この道わが旅(II)
今回のコンサートのプログラムを考えるときに、演奏家のみなさんとともに指揮者自身も何か演奏課題を持とうということになり、それぞれがアンコール曲で楽器のソロ演奏に取り組んだのです。
「王宮のトランペット」では吹奏楽指揮者の伊藤祥智がピッコロトランペット(一般のトランペットよりも高い音程の音が出ます)のソロを、「空飛ぶベッド」では管弦楽指揮者の私がシロフォン(木琴)のソロを担当しました。
なかなかハードな課題でしたが、会場のお客様にも驚いていただいたようですし、私たち指揮者自身にとっても大変貴重で有意義な体験となり、挑戦して良かったと思っています。
管弦楽のアンコールでは、本編のコンセプト(「ドラゴンクエスト・クラシックス」「ドラゴンクエストVI の世界から」)に沿って2曲選んだのですが、最後に演奏した「この道わが旅」は、ファンにとっても特別な思い入れのある音楽ではないでしょうか。
ドラゴンクエストII の物語の最後では、力を合わせて困難に立ち向かった王子と王女たちが、またそれぞれの国に戻って自分の役目を果たしていきます。
目標を達成したことによる「別れ」を切り口にしながらも、それぞれの未来を感じさせる音楽ですね。
第2期の楽団結成・そして解散という2つの側面を併せ持った「もょもと交響楽団」にとって、これほどふさわしい曲はないんじゃないかと思って選びました。
演奏中、この曲のコーダ(終結部)に突入した瞬間、私の視界もぶわっと滲んでいきました。やっぱりやばいね、この曲!
ちなみに、第1回のコンサートのアンコールでは、ドラゴンクエストI のエンディングテーマ「フィナーレ」を演奏しました。
そして第2回の今回は、ドラゴンクエストII のエンディングテーマ「この道わが旅」。
これって偶然でしょうかね。どうなんでしょうかね。えへへ……
─────さて、今回の大掛かりな公演も無事に終了しまして、私自身も次の旅路に出ねばなりません。
しかし、いつかまたこのもょ響の場に帰ってきて、メンバー全員がさらに大きく成長して、何か伝説を残せるような、そんなさらに素敵な楽団になれればうれしく思います。
今回のコンサートにご来場くださったみなさまにも、何かわくわくするようなドラゴンクエスト音楽体験が残せていることを信じながら、旅の泉をくぐることにしましょう。
ありがとうございました。またお会いしましょう!
あ。おまけ。
(6) すれちがい通信
指揮者の譜面台に、さりげなく 3DS を仕込んでおきました。
「すれちがいMii広場」ですれちがえた方、いらっしゃいますかね?
トライフォースをかぶったおかしな男子がお邪魔してると思います。
すれちがい伝説の勇者として活用してやってください!