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【楽曲分析】もょょクラシック 第2回 「風と海の対話」

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     「もょょクラシック」第2回では、引き続き「もょもと交響楽団 Premium ConcertIII」で取り上げる、交響組曲「ドラゴンクエストV 天空の花嫁」の曲を見ていきましょう。

     解説はいつもの通りワタクシ 石口イライラ(゚∇^*)  がお送りいたします。


     ■空飛ぶ絨毯〜大海原へ
    いわゆる「乗り物系」のメドレーです。前半が空を飛ぶ時の音楽「空飛ぶ絨毯」。音階の駆け上がりから、低弦のリズム伴奏に乗って木管楽器によって軽快で楽しいメロディが奏でられます。基本は4拍子ですが、途中に5拍子を挟むことでちょっと風にあおられたかのような「おっとっと」とした印象を与え、非常にうまくできたメロディです。

    余談ですが、シリーズを通してこの空飛ぶ乗り物系の音楽は、表現される乗り物によって非常にうまく拍子が使い分けられています。その最たる例がIVの「のどかな熱気球のたび」。
    木管四重奏によるアンサンブルにこれでもかというほどの変拍子を多用することで、気球という乗り物の不安定感を見事に表現しています。

    もう一つの特徴が、「1つの音が表現する情景の豊かさ」でしょうか。冒頭の駆け上がり後、高音域の持続音がヴァイオリンによって演奏されますが、このたった1つの音から乗り物の速さや風を切る感じ、風の温度、眼下に広がる雲の形や遥か下に見える景色などが見事なまでに見えてきます。

    この「1つの音だけの豊かな表現」はまさにすぎやま氏の「匠の技」がなせるもの。この技は「おおぞらをとぶ」(III)の冒頭にも印象的に使われているものです。
    この後も長い音符によるメロディが続き、そのあとに3連符による別な主題もさわやかに続き、乗り物がいまどんな状態にあるかを雄弁に語っていきます。

    推移部を経て、曲は後半の海の音楽「大海原へ」と展開していきます。前半のスピード感のある音楽とはうって変わって、息の長い音楽です。
    シリーズを通して、海の音楽はかなり形を変貌させていきます。IからIIIまでのワルツ系の音楽に対し、IV以降は雄大かつロマンティックな形式に変化しますね。
    この「大海原へ」も後者の分類に属するものですが、音楽が描く情景は穏やかなものです。

    そう、そこは穏やかで紺碧の地中海、晴れた朝にニースの港を旅立つ白い帆船。海岸からは街の人たちの「ボン・ボヤージュ!」の声が響き、力強く手を振り返すと傍らには愛する妻が。ごく自然に肩を抱く手にあわせて近づく妻の顔・・・朝の地中海に跳ね返るニースの太陽の輝きが二人を祝福するかのようです。


     穏やかで美しい主題がヴィオラとチェロによって奏でられ、弦楽器を主体に発展。フルートを中心にした木管セクションが彩りを添えます。そこからオーケストラ全体で主題を力強く再現していきますが、オーケストレーションは常に優しいパステル系の色彩感を感じさせるものです。
     これは、クロード・ドビュッシー(1862〜1918)に代表される印象派音楽の影響でしょうか。金管楽器の柔らかな音色をベースにし、木管楽器が細かなアンサンブルを作っていくことで雄大ながらも暖かみのある音楽に仕上がっています。

     曲はやがて帆船が遠ざかって行くかのように主題の断片を繰り返し、ホルンの和音に乗って地平線の彼方へ消えていきます。前半のさわやかな空と後半の穏やかな海。1つのメドレーの中で描かれる情景を楽しみながら、ぜひ皆さんも陽光輝くニースの地へ思いをはせてみてはいかがでしょうか。


    以上、解説の石口イライラ(゚∇^*)でした。


    タイトル出典:C.ドビュッシー作曲 交響詩「海」より