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【楽曲分析】もょょクラシック 第1回 「恋とはどんなものかしら」

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     みなさま、こんにちは。「もょょクラシック」のお時間がやってまいりました。
    ここでは、2014年4月29日に開催される「もょもと交響楽団 Premium ConcertIII」にて取り上げる、すぎやまこういち作曲「交響組曲 ドラゴンクエスト」の楽曲を解説致します。

     ただ、楽曲解説といっても曲の紹介ではございません。今回もょもと交響楽団が取り上げる楽曲がどんな情景を描いたものかはみなさんよく御存じのはず。たとえば、「結婚ワルツってゲームの結婚式の時に流れるんですよ」との解説をしても

     


    「知ってますが何か??」


    で終わってしまいますよね。

     
    そこで、この「もょょクラシック」では、作曲技法やオーケストラの技法から「ドラゴンクエスト」の音楽を紐解いていきます。解説担当は、ワタクシ石口イライラ☆(ペンネーム)でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

     
     さて、この交響組曲「ドラゴンクエスト」は、皆様ご存じのとおり、国民的人気のRPG「ドラゴンクエスト」シリーズの音楽を作曲者のすぎやまこういち氏自身がフルオーケストラのための組曲に編纂したものです。現在までにゲームのタイトルに合わせて10作品作られていますが、いずれもゲーム音楽としてのみならず、現代のオーケストラ音楽としての側面もあります。録音も、NHK交響楽団、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団、そして東京都交響楽団と世界トップレベルのプロ・オーケストラが手掛け、高い評価を得ているものです。

    それでは、楽曲解説です。過去2回のコンサートではアラカルト、もしくは抜粋の演目でしたが、今回のもょもと交響楽団では「交響組曲ドラゴンクエストV 天空の花嫁」全曲を取り上げます。

     ドラクエVは、ご存知のとおり、「天空シリーズ」の1作品。実は「天空シリーズ」の楽曲というのは、シリーズのストーリーに合わせ、ある程度「音楽の色彩」を統一して書かれているんです。他の作品(IV・VI)では、主人公の悲惨な生い立ちや悲し目のストーリーからどちらかというと「寒色」の色彩を感じますが、このVは主人公の人生波乱万丈っぷりは飛びぬけてますが、ストーリーの柱に「結婚」や「家族」があるためでしょうか。戦闘曲や悲しい曲を含めて、パステル系の「暖色」な色彩を感じる組曲になっています。

     ■愛の旋律(V)
     愛ってなんでしょう。胸を焦がすほど熱くしたり、急に寒く不安にしたり。晩秋のモンマルトルの丘に吹く夜風のように気まぐれなもの。愛がもたらす心の揺れ動きを見事に描いた小品です。

     この曲の特徴は「転調の妙」「楽器の扱い方」「旋律の比率」での表現でしょうか。
    音楽のメロディには「調性」というものがあります。ハ長調とかニ短調とかのことですね。そしてこの調性が変わることを「転調」といいます。この「転調の妙」がよく出ているのが冒頭の主題。聴いている限りは美しい音楽ですが、わずか8小節のメロディで、5回の転調があらわれています。それも、前後の関係が薄い調性への変化(=安定しない)で、不安定さを作っています。

     もう一つの特徴が「楽器の扱い方」。この曲の冒頭のソロを奏でるのはフルートです。フルートといえば木管楽器でも高音を担う楽器でその華やかな音色が魅力の楽器です。冒頭の旋律は、通常フルートではあまり演奏されない音域で書かれていますが、ここではあえてあまり使わないフルートの「最低音域」をあてることで「愛を思う人物像」を表現することに成功しています。

     次の繰り返しでは、ヴァイオリン・ソロによる演奏。同じメロディを同じ音域で書かれていますが、ヴァイオリンの艶のある低音の響きから見える人物像は全く違うキャラクターですよね。そう、前者がプロヴァンスの田舎娘なら、後者は華やかなパリジェンヌ。同じメロディでも演奏させる楽器の特性を利用して表現する人物像を全く違うものにすることに成功しているといえます。

     そのあとに奏でられる第2主題。ヴァイオリンの合奏によって流れる主旋律とチェロを主体にした対旋律です。通常のオーケストレーションでは主旋律と対旋律の比率は主旋律に多く充てられますが、ここでは完全な1:1に仕掛けているのがわかるかと思います。対旋律も、主旋律の合間を埋めるように動きを持たせていくことで、愛を思う女性と男性のようにお互いに意識しながらもすれ違うように、そしてお互いが音楽的に関連することによって一つの音楽としての統一感を持たせている仕掛けになっています。

     短いながら、作曲技法とオーケストレーションの技術を見事に使ったこの「愛の旋律」。

    こんなことを知りながらゲームの場面を思い出して聴いてみると、また違った形に聞こえるかもしれません。

     

    以上、解説の石口イライラ☆(ペンネーム)がお送りしました。


    タイトル出典:W.A.モーツァルト 歌劇「フィガロの結婚」より
     


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