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みなさまのためのモンスター集団・もょもと交響楽団です

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    指揮の田中でございます。
    最初のご挨拶以来、ご無沙汰しております。
    もょ響の練習は順調にやっておりますよ。

    いきなりもょ響の話とちょっと逸れますが、今年の 9月30日〜10月2日の3日間、大きなゲーム音楽フェスがありました。

    ■4年に1度のゲーム音楽フェス「4starオーケストラ」
    http://www.2083.jp/4star/

    これの最終日、オーケストラ公演の指揮を担当していた都合もあり、もょ響合奏練習の初期のころは、練習スケジュールが数回ぶつかってしまい、メンバーのみなさまにいろいろとご迷惑をおかけしてしまいました。

    しかしこの「4starオーケストラ」の公演は大変な熱気に包まれていまして、改めてゲーム音楽のもつエネルギーのでかさを感じました。
    お客様も、出演者も、ゲストで登場したゲーム音楽作曲家のみなさまも、これに関わった人みんなが興奮したフェスだったように思います。
    もょ響メンバーも何名かこの公演に出演しましたが、もょ響公演に向けても大変良いモチベーションになりました。

    さて、もょ響の話です。

    もょ響は、交響組曲「ドラゴンクエスト」シリーズを専門に演奏する楽団であることは今更言うまでもないのですが、かと言って、これまでリリースされているNHK交響楽団や東京都交響楽団、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団などの録音演奏のまねごとをしているのかというと、決してそういうわけではありません。

    この交響組曲シリーズのファンの方々にとっては、そうしたプロ楽団の演奏録音は、ある意味「聖典」と呼べるものかも知れません。
    しかし、私たちは私たちなりにこの楽曲群を自分たちの目で見つめ直し、解釈や演奏上の工夫を独自の視点で再構成して取り組んでいます。

    指揮者である私自身が持っているテーマは、「ゲームプレイヤー・傍観者としての音楽ではなく、ドラゴンクエストの世界の住人・当事者としての音楽」です。

    これは前回のもょ響活動のブログでも少し触れましたが、たとえば街の音楽を例にとってみます。
    演奏者が実際にその街にいたとして、その街の喧騒や、ちょっと裏通りに迷い込んだ感じなど、聴いてくださるお客様に「ねえ聞いてよ!街でこんなことがあったんだよ!」と話すように、リアルに描いていきたいと考えています。

    また、今回の公演では戦闘の音楽を多めに取り上げていますが、そうした戦闘の音楽についても同様のことが言えます。

    ゲームにおける「戦闘の音楽」って、どういう立ち位置にあるのでしょうか。

    勇壮で迫力があり、主人公、あるいはプレイヤーの心を奮い立たせる戦闘音楽というのもあるでしょう。
    私が指揮者として最近取り組んだ中では、「FINAL FANTASY 13」の「閃光」などはそのいい例かと思います。
    主人公・ライトニングの凛とした佇まいやスマートでキレのある動きなどを音楽として表現し、「音楽が主人公側に立って応援している」という印象を受けます。

    それに対し、ドラゴンクエストにおける戦闘音楽は、私としては「音楽がモンスター側に立っている音楽」という考えを持っています。
    つまり、表面上は「かっこいい」「燃える」音楽ではあるけれども、その本質は「勇者たち、もしくはプレイヤーたちに恐怖を感じさせる音楽」ではないかということです。

    例えば、ドラゴンクエストII の「戦い」では、モンスターの突然の登場がイントロの激しく降りてくる音で示され、直後に5回も打ちつけられる低音の打撃のような音で圧倒的な威圧感を与えます。金管楽器の激しい連符は戦いの凄まじさや強い不安を感じますし、テーマが繰り返される前に唐突に音数が減るところは、一旦戦闘態勢を立て直す間合いのようなものも感じます。

    ……ほんとはこういうの楽譜で例示したいけど、著作権とか超だいじ!!だからやんない!!

    ドラゴンクエストVI の「魔王との対決」などは、特に際立ってその特徴が表れています。
    このブログでも過去に触れられていますが、この物語の中で何度も登場する「悪のモチーフ」が繰り返し使われていて、悪の権化であるデスタムーアの圧倒的な存在感・畏怖感を強烈に提示しています。

    2011年10月9日に放送された「題名のない音楽会」(テレビ朝日系列)でも、この楽曲が取り上げられ、実際にその「悪のモチーフ」が何回使われているかをカウントする企画がありました。その結果、実に45回も使われていたのです!(中間部のファゴットのソロ部分は除く)

    これだけたくさんの悪の意思もたせた楽曲ですから、最初に出てくる強烈な全合奏のモチーフは、デスタムーアの強大さをまざまざと感じますし、その後不気味に進行するモチーフの展開では、今までの戦いでは経験しなかったあまりに恐ろしい情景が浮かびます。

    また、中間部では、ファゴットによる長いソロがあります。これがまた戦闘音楽としてはあまりに異質。激しく戦っているような状況を示すものではないですね。
    勇者たちがデスタムーアの姿を見失い、疑心暗鬼に状況を伺いながら、時折死臭を感じるような風が吹き、命が削られるような思いをするような部分です。

    最後に、イントロで描かれた大きな悪のモチーフが演奏されますが、これは最初に提示した「デスタムーアの強大さ」とはまた違うものです。
    強大ではあるものの、今まさに勇者たちによって追い詰められ、デスタムーアの混乱に陥りかけた心情も感じます。
    最後はいよいよとどめを刺された大魔王の断末魔を感じさせる強烈なサウンドで、ぶっつりと幕を下ろすのです。

    ……いかん、長々と熱く語ってしまったようですけど、まあ、そういうことです。
    もょ響は今回、戦闘音楽においては完全にモンスター側に回って演奏します。
    なので、勇者たるお客様を存分に恐怖の世界にご案内できればと思っていますし、そうしたことがおもてなしになればいいなと思っています。

    コンサートまであと1ヶ月、もょ響はギリギリまで音楽的な爪を研いで、みなさまをお待ちしております。

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